

当記事に訪れたあなたは、こんな疑問があるはず。
一目均衡表は、日本では稀有なテクニカル分析の一つであり「トレンド」を重視した手法です。
独自のパラメーター(分析の設定値)によって相場を分析することから、価格だけでなく時間にも意識を向けたテクニカル分析になっています。
そんな一目均衡表の詳しい特徴から使用する上でのメリット・デメリット、使い方等について詳しく解説します。
ビットコインのように、極めてトレンドが出やすい相場では有効的な手法であること間違いなし。
最後まで記事を読めば、トレンドを把握する分析を身につけ、得意になるはずですよ!
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(日本人が考案)一目均衡表ってどんな分析手法?
一目均衡表を一言で説明すると、文字通り「一目瞭然のようにひと目でトレンドが分かる」こと。
詳述すると、「買い手・売り手のどちらに勢いがあるかは一目で分かる」とされているのです。
そもそも、一目均衡表は1936年、株式を専門とする経済評論家でもあった「細田 悟一氏」によって考案されたテクニカル分析で、国内外で注目を浴びました。
戦時から戦後にかけ2000人の開発者と7年もの歳月を掛けて理論化されており、相場の「書い手」「売り手」の均衡に注目。
ゆえに、一目均衡表ではトレンドの把握から転換点となるポイントまでも分析できるとして人気あるテクニカル分析なのです。
下記の項目では、より一目均衡表の理解を深めるため
- 一目均衡表を構成する5つの重要ポイント
- (トレンド把握可能)一目均衡表を使用するメリット
- (ビットコイン特有の難しさあり)一目均衡表をビットコイン相場で使用する際のデメリット
の3点について解説するので、順々にチェックしてみましょう。
一目均衡表を構成する5つの重要ポイント
一目均衡表は他のテクニカル分析とは異なり、幾つかの要素となる線を用います。
具体的には5種類の目安となるものがあり、下記の表になります。
転換線 | 過去9日間における高値・安値の平均値を算出した線。 |
基準線 | 過去26日間における高値・安値の平均値を算出した線。 |
先行スパン1 | 転換線・基準線から平均値を求め、26日分(本)先行させた線。 |
先行スパン2 | 過去52日分(本)の最高値・最安値の平均値を26日分(本)先行させた線。 |
雲 | 先行スパン1・先行スパン2によって囲まれる部分 |
遅行線 | 現在レート(当日の終値)を26日分(本)前に遡って反映させる線 |
チャート画像にて、各種パラメータについてもを確認してみましょう。
ごちゃごちゃとした線が交差していますが、全て「一目均衡表」のデフォルト設定となります。
後述しますが、一目均衡表では設定した各種ラインを参考にすることで相場のトレンドを把握・分析可能。
価格だけでなく、時間的な要素を取り入れているため前後の時間軸におけるトレンド把握を行える強みもあります。
例えば、先行スパン1・2においては一定の計算式に当てはめることで「未来」に注力した分析を行っていますよね。
一方、遅行スパンに関しては当日の終値を過去26日前に反映させることで「過去」と比較。
トレンドの強弱を現在・未来・過去の3要素から分析していることからも、精度の高い分析が行える特質性があるのです。
(トレンド把握可能)一目均衡表を使用するメリット
一目均衡表の強みは、トレンド把握が強みであると何度も説明しました。
が、単にトレンドを把握できるのが強みだけではないのです。
一目均衡表を分析で活用するメリットとしては、
- 5つの構成線からトレンドを把握して、エントリーポイントを見つけられる
- 雲を用いてレジスタンス・サポートラインを確認できること(押し目・戻り売りが得意)
- ローソク足・雲の位置関係から「レンジ相場」であることを発見できる
というように、相場における細かなトレンド分析を行えるのです。
上記のリストでもご紹介したように、一目均衡表は複数の「線」を掛け合わせることで分析の幅が広いです。
ゆえに、「トレンドの強弱」だけでなく、「トレンドが続くのか?」「いつトレンドが転換するのか?」「トレンドに勢いがあるのか?」など、「トレンドを知るならこれ(一目均衡表)!」と言えるほど魅力があるのです。

というのも、一目均衡表で特に意識される雲はビットコインなどの銘柄で効きやすいため。
強いトレンドが出そうな時や出た時、時間軸ごと(4時間足や日足は信用性高い)で有効性が高いです。
名前の通り、「一目でパッと判断できる」ため相場の急変動が多い仮想通貨市場で取り入れるのはおすすめです!
(ビットコイン特有の難しさあり)一目均衡表をビットコイン相場で使用する際のデメリット
ビットコインをはじめとする仮想通貨の多くは、他の金融商品と比較するとトレンドの勢いが強く、相場の展開も速い傾向にあります。
ですので、長期におけるトレンド予想をする上では効きやすいですが、短期における分析では「騙し」に合ってしまう場合も。
例えば、緑色の遅行スパンではローソク足を上抜けたものの直後に暴落が発生。
長い下ヒゲによって半値戻しされていますが、その後は遅行スパンを下抜ける形(つまり、短期の下落トレンド)になっていますよね。
一般的に、ローソク足が遅行スパンを上抜けは「買い」、下抜けは「売り」とされています。
したがって、遅行スパンの上抜けは「騙し」であったと判断でき、相場の急落&短期下落トレンドに巻き込まれてしまうでしょう。
このように、いくらトレンドに強いテクニカル分析といえどビットコインのような短期で大きく価格変動する銘柄では苦手な市況もあります。
もちろん、使いこなすうちに「騙し」に対応できる策を身につけることもできますが、基本的には中・長期におけるトレンド分析の手段に用いたいところです。
(おすすめの取引所もアリ)一目均衡表を実際にチャートに設定する方法
ここまで読み進めてみて、
「トレンドを抑えられるテクニカル分析であるのは、分かった」
「でも正直、線の設定値とか分からないし使いこなせなそう…」
なんて感じてしまうかもしれません。
実は、筆者もその一人でしたが不安になる心配はありません。
基本的に、ほとんどのテクニカル分析ではデフォルトの設定値があります。
それらは世界中の投資家が参照としている数値(つまり、デフォルト設定のまま)でもあるため、「多くの市場参加者が見ているポイント」であるということ。
筆者の調べによると、一目均衡表に関しても同じでデフォルト設定値でも十分にビットコイン(仮想通貨)市場に適応しています。
前置きが長くなりましたが、まずは「Trading View」にアクセスをして「インジケーター」と書かれている箇所をクリックします。
検索タブに「一目均衡表」と入力すると「Ichimoku Cloud」と表記されるのでクリック。
すると、上記画像のように一目均衡表が(ビットコイン)チャートに反映されます。
パラメータの設定や色、太さに関しては上記画像の左側にある「設定マーク」から変更可能。
一般的なデフォルト値が既に入力されているので、特別な理由がない限りはこのまま使用しましょう。
*線の太さは個人差によって気になるものなので、ぜひ調整してみてくださいね。因みに、こちらの画像で用いている線の太さはデフォルトより一つ太いサイズを使用しています。

先ほど紹介したTrading Viewは、取引所の公式チャートとして搭載されているケースもある。
上記のステップで一目均衡表を導入できるし、多種多様な分析ツールが揃っているから非常におすすめ。
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(売買のコツ)ビットコイン相場における一目均衡表の具体的な見方
ここでは、一目均衡表を活用した実際のエントリーチャンスの見方について紹介します。
線の組み合わせや雲を活用しており、一目均衡表を駆使した実践的な使い方について詳しい理解を深められるはずです。
転換線・ 基準線におけるゴールデンクロス/デッドクロス
転換線が基準線を上抜け・下抜けした場合、トレンド転換の根拠が強くなったと判断できます。
転換線が基準線を上抜け | ゴールデンクロス |
転換線が基準線を下抜け | デッドクロス |
数多くのチャンスは訪れないものの、転換線と基準線の交差は注視したいところ。
上記画像では、青色の転換線が赤色の基準線を上抜け(ゴールデンクロス)していますね。
その後、力強い上昇によって上昇トレンドが発生していることからエントリーのポイントであったと判断できます。
反対に、こちらの画像では青の転換線が赤の基準線を下抜け(デッドクロス)しています。
ローソク足の位置も高いこともあり、利益確定やショートによるエントリーチャンス。
こちらもその後、勢いのある下落によって下落トレンドが発生しています。
一目均衡表は、長期の時間軸においてトレンドの把握をしやすいため、転換線・基準線に基づいた「ゴールデンクロス・デッドクロス」は信頼性の高いサインとも言えるでしょう。
中・長期でこのサインを発見した際は、エントリーチャンスの一つとして要検討です。
雲を活用した押し目・戻り売りの判断
先行スパン1・2によって発生する雲の存在は非常に大きく、トレード時における「押し目」「戻り売り」のポイントを判断できます。
下記、チャート画像をご覧ください。
こちらの画像のように、上昇トレンドにおいて「下落したローソク足」が雲に沿って支持されていますね。
価格が雲近辺で意識されるのは、各指標における平均値を取っているため。
トレンド形成において意識される雲を見ておくことで、押し目を狙った売買もできるのです。
他方、こちらの画像では雲の下抜けから下落トレンドが。
黄色枠付近では一旦の反発があるも雲が抵抗となって跳ね返されていますね。
その後に関しても下落が続いていることから、雲の抵抗を確認した「戻り売り」ができますよね。
こうしたように、雲を意識した分析をすることで難しい相場環境を認識し、トレンドを追う順張りの手法も行えるのです。
*一般的に、薄い雲を突き抜けた場合はトレンド転換したと判断されます。
遅行スパンを意識したブレイクアウト手法(トレンド転換を狙う)
最新のチャートにおける終値から過去26日分にずらして反映させた遅行スパンは、トレンドの転換で利益を狙いやすい指標。
上記画像では、上昇トレンド継続時に「緑色の遅行スパン」がローソク足の上側を推移しています。
ですが、その後は上値が重くなる展開になったと同時に遅行スパンとローソク足が触れるように。
最後は、遅行スパンがローソク足を下抜ける展開となり下落トレンドへの転換となりました。
トレンドの継続を知れると共に、トレンドの終了と転換点を探れることが分かりますね。
エントリーを上手にできれば、大きな利幅が狙えるのでチャンスです。
一方、こちらの画像では下落トレンドを示唆するように、ローソク足の下側を遅行スパンが推移。
けれども、黄色の矢印付近において遅行スパンがローソク足を上抜け。
下値を固める動きを見せたのち、大きく上昇したことから下落トレンドの転換を見つけられたといえます。
遅行スパンはシンプルな線ですが、トレンドの状態を一発で見抜きやすい指標なので積極的に活用したいですね。
一目均衡表によって予想される今後の「ビットコインのトレンド」とは?
最後に、筆者による一目均衡表を用いた中期・長期におけるビットコインのトレンドについて大まかな予測をご紹介します。
*具体的な価格予測ではなくトレンドの強弱を趣旨としてご紹介するのは、一目均衡表は「トレンドの傾向を抑えやすい」性質があるため。
詳しい価格予測については、トレンドラインやフィボナッチリトレースメントなどの方が詳しく分析できます(目的に沿ってテクニカル分析の種類も使い分けましょう)。
中期のトレンド予測としては、「高値更新をするも、一時的な下落トレンド入り(調整は近い)」の可能性があると考えられます。
チャート画像にも示されている先端の雲は、「52,963〜58,348USD」ほど。
上値を追いかける形で価格推移をしていますが、日足ベースでの雲をタッチした際に「支持」されるか見どころです。
仮に、雲の支持を失敗した場合は下抜けによる下落トレンド入りも発生し得るでしょう。
さらに、ローソク足の上側を推移していた遅行スパンに関しても高値圏でローソク足と接触していることから、相場の勢いが弱まっていると推測できますね。
しかし、ビットコインは史上初の高値更新を続けているため長期的には上昇への勢いがあり。
中期の「騙し」的な値動きを得て、上昇トレンドの継続も起き得ると見ておきましょう。
2-3年の長期視点では、「高値更新に向けた上昇トレンドが継続している」と考えられます。
この理由として、一目均衡表を週足ベースで表示すると雲との乖離はあるものの「厚い雲」が形成されていることにあります。
それだけでなく、遅行スパンがローソク足の上側に推移していることからも上昇トレンドの継続はしばらく続くと想定できるでしょう。
詳しくは、チャート画像における黄色線にて「雲を支持とした調整期間を挟むか?」見ておきたいところ。
その後、支持された雲を起点に高値更新に向けた上昇トレンドが起き得ると見ておきたいです。
他にも、遅行スパンがしっかりとローソク足の上側にあることから上昇トレンドが継続していると判断できます。
調整による下落が起きると、ローソク足を下抜けする場合も考えられますが「騙し」となる確率も高いので冷静に分析したいですね。
まとめ
今回は、ビットコイン市場を分析するのに参考となる「一目均衡表」の特徴から価格予測をする見方についてまで詳しく解説しました。
一見、一目均衡表は異なる意味を持つ複数の線を参考とすることから「使いにくいのでは?」と疑ってしまいがち。
けれども、日本発のテクニカル分析であり、歴史のある分析手法であることから信頼性は抜群。
価格の予測だけでなく、時間軸にも当てはめて分析できることから目先の値動きではなく、トレンドを把握して投資・トレードへ落とし込めます。
メリット・デメリットも踏まえ、一目均衡表を取り入れた相場分析をしてみてくださいね!
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