

一通りのテクニカル分析を学習し、自分の強みを理解すると勝率は高まりがち。
しかし、勝率は高いのになぜかトータルで損失の方が大きいなんてことありませんか?
なかには、資金の多くを溶かしてしまっている方もいるでしょう。
資金を守りながらも、長期的に利益を積み重ねる方法があれば嬉しいですよね。
「リスクリワード・レシオ」は、資金管理のあやふやな状態であるトレーダーのリスク管理を見直す概念。
当記事では、「リスクリワード・レシオ」に関する詳しい特徴を解説します。
読み終えた頃には、あなたのトレードにおける「利益」と「損失」の比率を意識し、戦略的にトレードが行えるようになるはずですよ!
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(仮想通貨FXをするなら必見)リスクリワード・レシオって何?
早速ですが、「リスクリワード・レシオ」に関して押さえたい3つの項目について解説します。
具体的には、
- 利益と損失のバランス比?「リスクリワード・レシオ」の特徴について
- 「リスクリワード・レシオ」の計算式から分かること
- 「リスクリワード・レシオ」から損益分岐勝率を押さえておく
の3つ。
この章を読むことで、「リスクリワード・レシオ」の特徴をしっかり理解しましょう!
利益と損失のバランス比?「リスクリワード・レシオ」の特徴について
「リスクリワード・レシオ(RR)」は、勝ちトレードと負けトレードにおける損益の比率を指します。
PF(プロフィットファクター)とも呼ばれ、利益と損失の値幅を比率化することで、トレードの優位性を分析します。
リスクリワード・レシオは、「0」以上の数値で示すことができ、利益と損失の比率が同じであると「1」になります。
よって、優位性の基準としては「1」以上になるほど利益の比率が高くなるということ。
「1」以上の数値であれば、損失幅より利益幅の方が高くなるため、「損小利大」なトレードができるのです。
反対に、「1」以下のトレードをしている場合、利益幅よりも損失幅の方が大きいトレードをしていることに。
こうしたリスクリワードの考え方を知ると、エントリーから利益確定・損切りポイントを明確に設定できるのです。
もちろん、相場におけるリスク・リターンの考え方は人それぞれ。
けれども、リスクリワード・レシオを意識するだけで戦略的なトレードを実践できますよ。
「リスクリワード・レシオ」の計算式から分かること
「リスクリワード・レシオ」の計算式は、「平均利益 ÷ 平均損失」で求めることが可能。
一例として、5回の取引で「3勝2敗」だったとします。
5回の取引(3勝2敗) | |
平均利益 | 100万円 |
平均損失 | 50万円 |
この時、「3勝」した場合の平均利益は「100万円」。
他方、「2敗」における平均損失は「50万円」となり、上記表でまとめたようになります。
計算すると「100 ÷ 50 = 2」であるため、「2」がリスクリワード・レシオになると分かりますね。
ゆえに、利益幅が損失幅より大きいために優位性の高いトレードができます。
さらに、リスクリワード・レシオが「1」以下になる場合について。
こちらも同じく、5回の取引で「3勝2敗」だったとします。
しかし、今回は下記の表で示す平均利益・平均損失となりました。
5回の取引(3勝2敗) | |
平均利益 | 80万円 |
平均損失 | 100万円 |
3勝しているため勝率は「60%」。
ところが、平均利益が「80万円」に対して平均損失は「100万円」ですね。
計算してみると、「80 ÷ 100= 0.8」となることから、リスクリワード・レシオは「1」以下になってしまいます。
要するに、このトレードを続けていると「負け越し」をしてしまう可能性が非常に高くなるのです。
*バルサラの破産確率表によると、「0.8」のリスクリワードの場合、勝率「80%」以下は破産確率があることを示しています。
リスクリワード・レシオの計算式を求めて分かることは、「平均利益が平均損失を上回る取引をする」という点にあります。
勝率を上げることより、まずは「損小利大」なトレードを心掛けることが大切であると理解を深めたいですね。
「リスクリワード・レシオ」から損益分岐勝率を押さえておく
先ほど、リスクリワード・レシオの基本的特徴、及び計算方法について触れましたね。
重要なのは、「リスクリワード・レシオ」だけでなく、「勝率」も加味することです。
「損益分岐勝率」と呼ばれる「リスクリワード・レシオ」と「勝率」の関係性について理解を深めておきたいところ。
下記の表をご覧ください。
画像引用:リスクリワードレシオの確認方法や効率の良いトレードを行う方法 | OANDA FX/CFD Lab-education
こちらは、1回あたりのトレードにおける「損益比率」と「勝率」の期待値を示しています。
「1」を基準にした際、勝率が「50%」であると損益はプラスマイナス「0」になりますね。
お気づきかもしれませんが、「1」以上の数値であれば勝率が低くても期待値は高まります。
例えば、リスクリワード・レシオが「2」の場合、勝率「33%」でも損益分岐点(プラスマイナス0)になりますね。
一方、リスクリワード・レシオが「0.5」の場合、勝率「67%」でようやく損益分岐点になりますね。
半分以上の確率で勝ち続ける必要があり、長期的に勝ち数が多い状態を維持するのは厳しいでしょう。
改めて、リスクリワード・レシオと勝率の関係性から、ご自身のトレードを分析・改善してみてくださいね。
チャートで実践!「リスクリワード・レシオ」の使い方・分析方法って?
この章では、「リスクリワード・レシオ」を実際のチャートで使用する方法について解説していきます。
実践的な見方からトレードへ活かす方法についてご紹介するので、チェックしてくださいね。
「 リスクリワードレシオ」の基本的な使い方・見方について
リスクリワード・レシオの基本的な使い方・見方として、はじめにエントリーポイントを明確にします。
上記画像の場合、オレンジ枠の箇所で「押し目買い」したいところ。
そこで、リスクリワード・レシオを設定してみましょう。
上記チャートは、「Trading View」と呼ばれる投資プラットフォームを活用しています。
左側のツール一覧から「ロングポジション」「ショートポジション」の描画ツールを選択しましょう。
チャート上にエントリーの起点を置いたら、利益・損失となる目安の数値を設定します。
画像左タブに「利益水準」「ストップ水準」を入力、あるいはチャート上で細かく調整できますよ。
各種設定後、ターゲット・ストップの箇所を確認しましょう。
- ターゲットに設定されている利益幅は「2,756ドル」
- ストップに設定されている損失はばは「1,068ドル」
となります。
そして、起点となる部分には「リスク/リワード比」が表示されており、今回は「2.58」になっているのが分かりますね。
これは、利益幅が「2756ドル ÷ 1068= 2.58…」になるためで、リスクリワードの高い取引が期待できるでしょう。
ただし、上記のチャートは既にローソク足が反映されたもの。
実際に活用する場合、未来のローソク足については分かりませんから精度の高い分析が必要になります。
「ビットコインで人気のトレード手法まとめ【初心者おすすめ】」でご紹介しているように、テクニカル分析も合わせて使用するのが良いですよ!

「リスクリワード・レシオ」を活用した取引をするなら、「【損しない】仮想通貨のおすすめ海外取引所【2021年最新】」で紹介している取引所がおすすめだ。
というのも、上記で紹介しているような主流のテクニカル分析を使用できるため、高度な分析を取引画面とセットで見れるんだ。
肝心なエントリーでより慎重に取引するためにも、ぜひ参考にしてみてくれ!
優位性の高い「リスクリワード・レシオ」でトレードをした場合
さて、ここでは実践的な「リスクリワード・レシオ」の使い方を見ていきます。
まず、下記画像のチャートで示すように上昇トレンドを確認、及び、優位性の高いエントリーポイントを探ります。
上昇トレンドに沿って、綺麗なアセンディングトライアングルを形成しているのが分かりますね。
その上、上値が抑えられており、値幅が徐々に縮小していることも分かります。
より拡大してみると、オレンジ枠付近で一気に値幅が縮小していますね。
下値への余地もなく、レンジ相場の最終局面であると判断可能。
ここで、リスクリワード・レシオを用いた利益確定・損切りラインを設定します。
最低でも、レンジの最大幅分は上昇すると考えられるため上記画像の位置に利益確定ラインを決定。
すると、リスクリワードは「4」となり、勝率が低くても利益を最終的には取れる可能性が高まるでしょう。
とはいえ、毎回リスクリワードを高く維持できることは不可能。
それは、チャートの動向によってエントリーポイントも変わるため。
あくまでチャートの環境に応じて、リスクリワード・レシオを検討したトレードをしましょう。
優位性の低い「リスクリワード・レシオ」でトレードをした事例
「リスクリワード・レシオ」を用いた優位性の低いトレードについて確認してみましょう。
上記画像は、上昇トレンドが継続していることを想定したチャート。
黄色線のように三角持ち合い相場が続いていましたが、上抜け。
その後、「押し目」となるようなジワジワとした上昇が続いていますね。
ジワジワな上げ方であるため、見方次第では「上げ渋り」による下落も警戒したいところ。
そんな中途半端な位置でポジションを持ったとします。
ここで、リスクリワード・レシオを決めると
- 利益幅「3,769ドル」
- 損失幅「3,492ドル」
であるため、割り算(3769ドル ÷ 3492ドル)をすると比率は「1.08」になります。
先述したリスクリワード「4」よりも勝率を高めないと、損失が出てしまう計算になりますね。
リスクリワードと勝率、どちらも高められる目を養うことが重要になりますよ。
(適切な使い方を知る)リスクリワード・レシオの落とし穴と対策
リスクリワード・レシオを使用する際、注意したい点があります。
下記、
- 心理的に許容できない資金量である場合
- 「 リスクリワード・レシオ」だけを見てトレードをしてしまう
- 「リスクリワード・レシオ」を固定の比率だけで見てしまっている
のように、使用する上で陥りがちな懸念があるもの。
これらの対策とセットで詳しく解説していきます!
心理的に許容できない資金量である場合
人間の心理とは複雑なもので、同じリスクリワードであっても、資金量が違うだけでトレードに影響が出るもの。
「オーバートレード」とも言われ、心理的な負荷が大き過ぎる状態を指します。
例えば、損失比率が同じで、損失が10万円なら冷静に損切りできるとします。
されど、100万円の損失になると即座に切れなくなってしまうことも。
同様に、リスクリワードは同じであるにも関わらず、資金が多いと感じると早々に利益確定したくなるケース。
資金に対する心理的な抵抗が強いため、そうした行動をしてしまうのです。
ですから、資金面でのプレッシャーを落とすためにも資金量を調整してトレードすることがおすすめ。
相場経験を積みながら、徐々に資金を増やすなどの改善を行うのが良いですよ。
「 リスクリワード・レシオ」だけを見てトレードをしてしまう
よくあるミスの一つに、「リスクリワード・レシオ」だけを見て取引をしてしまうこと。
ズバリ、解決策としては
- トレンド系テクニカル分析
- オシレーター系テクニカル分析
- チャートパターン
などの指標を見ることで、複合的な視点でチャート分析が行えます。
もし、チャートを見て今まで上昇トレンドであったから「押し目」でロングしたとします。
エントリーした箇所が「天井」であった場合、大きな損失に繋がってしまうでしょう。
あくまで、リスクリワード・レシオは損益のバランスを検討するもの。
それゆえ、強みとなる分析を使いこなすことで想定できるチャートシナリオを考えておきましょう。
エントリーチャンスを見つけ、リスクリワードを考慮した上でポジションを構築してみてくださいね。
「リスクリワード・レシオ」を固定の比率だけで見てしまっている
リスクリワード・レシオの取引をする際、固定の比率だけを見てしまうのは危険。
理由は、その時の相場状況に応じて「リスクリワード比率」は変わるため。
上記画像は、下落を想定して「売り」によるポジションを構築した場合。
リスクリワードは「1,9」と表示されており、高値圏のサポートラインを割ったタイミングで「売りエントリー」した状況。
リスクリワードの比率もそこまで悪くないですね。
では、こちらのチャートでエントリーを検討した場合はどうなるでしょう?
下落をしたものの上昇トレンドへ回帰する動きと想定。
上昇した場合、赤線で引いた抵抗帯が意識されており、利益確定ラインとなるでしょう。
また、損切り目安は最安値付近を意識します。
すると、今回のリスクリワード比率は「1.81」になることが分かりますね。
どうしても、固定の比率で合わせてリスクリワードを決めてしまいがち。ですが、あくまで見ているチャートの状況からポジション構築をするようにしてくださいね。
(ビットコイン)リスクリワード・レシオを意識して今後の売買ポイントを探る
最後に、ビットコインチャートを用いた「リスクリワード・レシオ」の分析予想についてご紹介します。
早速、結論としては下落トレンドに伴う「売り」ポジションを構築するのが賢明と言えるでしょう。
というのも、下落トレンドが継続していると考えた場合、次の到達ポイントは「19,860ドル」付近になると予測。
長期の上昇トレンドが終了し、前回高値の2万ドル近辺を推移すると予想できるためです。
ゆえに、現在のレンジ相場を意識したリスクリワード・レシオを設定すると「2,07」になると推測可能。
順張りのトレードによって利益を狙っていきたいところです。
ですが、このシナリオが崩れる可能性も十分にあり得ます。
その場合、下記画像のような目ぼしいポイントでエントリーしたいところ。
こちらも長期時間軸で抵抗となっている「41,592ドル」付近が意識される価格帯。
仮に、上抜けするようなことがあれば赤線を起点に「リスクリワード・レシオ」を用いたエントリーを検討できます。
上記画像は大よそな描画ですが、リスクリワード・レシオは「1.43」となりますね。
ピンク線上抜け後、下落トレンドへ回帰する動きなら直下で損切りをしてしまうのも良いでしょう。
その場合、リスクリワードレシオを高めたトレードができるはず。
今回、ターゲットは前回高値の手前に設置していますが、相場状況に応じて決めるのがベストですね!
まとめ
今回は、リスクリワード・レシオについて詳しい解説を行いました。
「いかに勝つか」
そのために、テクニカル分析やチャートパターンを必死に学ぶ気持ちも分かります。
されど、それだけでは勝てないことに苛立ちを感じる時もあることでしょう。
それは筆者自身も同じで、リスクリワードと勝率のバランスを見てエントリーする重要性に気付いていなかったからです。
- 感覚的なトレード
- 損切り後、感情的になってポジションを取ってしまったトレード
多くの場合は失敗に終わってしまうはず。
事前に、致命的なミスに繋がることを防ぐためにも「リスクリワード・レシオ」を活用してみてくださいね!
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