

価格の乱高下が激しい仮想通貨市場において、信頼できるテクニカル分析があると心強いもの。
なかでも、売買の強さやトレンドの強弱が分かる「ストキャスティクス」のようなオシレーター系テクニカル分析は人気です。
歴史も長く、値動きに対して素直に反応しやすいため、分析する上で信頼性が高いのが人気の理由。
そんな「ストキャスティクス」を使いこなすためにも、当記事では基本的な特徴から使い方、実践例まで、詳しく解説します。
最後まで読めば、きっとチャートを見た時に相場の環境認識(相場の動向)を深められるはず。
ビットコインFX歴3年、2年目後半から勝率が安定してきた筆者が、リアルな相場目線で「ストキャスティクス」を解説するので、本気なあなたもぜひ最後までチェックしてくださいね。
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売買の強さが分かる?「ストキャスティクス」の特徴について
ストキャスティクスは、アメリカのアナリスト「ジョージ・レーン氏」によって1950年代頃に考案されました。
その特徴は、ある銘柄が「買われすぎなのか?」「売られすぎなのか?」を一目で把握でき、トレンドの強弱を推測して売買に役立てられるもの。
因みに、売買の強弱を分析する上で目安となる数字もあります。
売買の強弱(トレンドの状態) | 目安の数字 |
買われ過ぎ | 70-80%の付近 |
売られ過ぎ | 20-30%の付近 |
と、上記画像のように波打つストキャスティクスのラインを見るだけで、おおよそ「売買の力強さ」を分析できてしまうのです。
また、ストキャスティクスを算出するためには、一定期間における各ローソク足の高値・安値を元に求めています(計算式は詳しく後述)。
計算式によって求めたストキャスティクスは、「%K」「%D」という2本のラインによって構成されていることも把握しておきましょう。
ストキャスティクスのメリットは、主な特徴を抑えておけば直ぐに使用できること。
しかし、ストキャスティクスの原理を知っておくことで、より深い洞察で相場分析が行えます。
詳細の計算式については、下記のタブを開いてチェックしてみてくださいね!

ストキャスティクスを直接確認しながら取引するなら、「【損しない】仮想通貨のおすすめ海外取引所【2021年最新】」で紹介している取引所がおすすめ。
リアルタイムでチャート画面を見ながら取引が行えると、分析スピードはもちろん、エントリーする際の精度も高まる。
他のテクニカル分析も使用できるため、高度なチャート分析を行うのであれば利便性の高さを実感できるはずだぞ!
(2本の線に着目)ストキャスティクスを活用した仮想通貨相場の分析方法を解説
続いて、ストキャスティクスを活用した仮想通貨相場の分析方法を解説します。
というのも、ストキャスティクスのように売買の強弱を把握できる分析手法は、ボラティリティ(価格変動)の激しい仮想通貨にはピッタリな指標。
そこで、
- ストキャスティクスの基本的な「買い / 売り」シグナル
- 順張り・逆張りで使える!「ゴールデンクロス / デッドクロス」の売買サイン
- (トレンド転換のサイン)ダイバージェンスを見抜く方法
の3つについて、詳しく紹介します。
いずれもチャートに頻出の「サイン」なので、よくチェックしてくださいね。
ストキャスティクスの基本的な「買い / 売り」シグナル
ストキャスティクスの見方は極めてシンプルなものであり、「0-100」までの数値における、”ある範囲”に着目します。
それは、
・買われすぎ「80」
・売られすぎ「20」
という目安であり、買われすぎの場合は「売りシグナル」を意味し、反対の売られすぎの場合は「買いシグナル」を示すサインとなります。
実際、下記のビットコインチャートではストキャスティクスの節目の数値付近において、大きくトレンド転換が発生していると分かります。
画像左側から、「売られすぎ」なシグナルを示す「20」付近で「買いエントリー」を検討できますね。
他方、「買われすぎ」なシグナルが出ている箇所では「80」を超えるストキャスティクスの数値が出ています。
従って、シグナル発生ポイントで売買エントリーが出来れば、その後は利益を狙えると分かりますね。
このように、一目で見ても分かるようなエントリーチャンスがあるのです。
順張り・逆張りで使える!「ゴールデンクロス / デッドクロス」の売買サイン
前の項目で、ストキャスティクスの買い・売りのシグナルを解説しましたが、より確証性の高いサインもあります。
他のテクニカル分析でも度々使用される専門用語ですが、「ゴールデンクロス」「デッドクロス」と呼ばれるもの。
ゴールデンクロス | 「%K」が「%D」を下側から上側に突き抜けること。「20」の数値付近で出現すると、より強い価格上昇が期待できる。 |
デッドクロス | 「%K」が「%D」を上側から下側に突き抜けること。「80」の数値付近で出現すると、より強い価格下落が期待できる。 |
というように、「%K」「%D」の2本線が交差しながら同じ方向に向かい出すタイミングは、トレンドの節目・転換しやすくなるのです。
下記の画像をご覧ください。
画像左側では、ストキャスティクスの下限ラインで「%K」が「%D」を上抜く形になっており、価格も上昇しているのが分かりますね(ゴールデンクロス)。
そして、上限ラインをタッチしている右側部分では価格も直近高値を更新後、大幅に下落をする展開になっています。
こちらもよく見ると、「%K」が「%D」を下抜けしていることから、「デッドクロス」が起きたと判断できますね。
以上のように、強いトレンドが発生することを事前に予知しやすいため、トレンド転換を狙ったエントリーが行いやすいですよ。
(トレンド転換のサイン)ダイバージェンスを見抜く方法
ストキャスティクスの基本的な使用方法に慣れてきたら、上級者向けの「ダイバージェンス」も見抜けるようになりたいところです。
そもそも、「ダイバージェンス」とはオシレーター系のテクニカル分析で用いられる用語。
その意味は、価格は上昇しているのにも関わらず、ストキャスティクスは下落しており、計算式では「上値が重い」ことを示しています。
逆も然りで、価格は下落しているにも関わらず、ストキャスティクスは上昇しており、計算式に当てはめると「下げ幅の余地」がないため、上昇しているということになります。
上記チャートからも分かるように、チャート上のローソク足は上昇しているのに、ダイバージェンスの高値は切り下がっていますよね。
その後、赤線のトレンドラインを割る「下降トレンド」へと推移しており、本格的な下落(調整)を迎える形になっていると分かります。
「上昇トレンドが継続しているけど、何かおかしい…」
「上昇相場が続くと考えられないけど、どうなんだろう?」
と、相場の違和感をいち早く察知することでトレンド転換を狙った根拠のある売買が行えますよ。

ストキャスティクスは便利である反面、トレンドそのものを正確に把握できるものではありません。
あくまで売買の強弱から「トレンドの強さ」を把握できるものであるため、トレンド系のテクニカル分析と組み合わせてみましょう。
例えば、移動平均線やボリンジャーバンドなど、トレンドの方向性や傾向を捉えることに長けている指標も参考にすると、全体的な相場の環境認識を深められますよ!
筆者の場合、エリオット波動やフィボナッチリトレースメントが主軸の分析手法。
ですが、2-3日に一度だけ、ストキャスティクスを用いることで日足での売買傾向を把握しています。
(ビットコイン版) パターンで抑える「ストキャスティクス」を用いた分析事例
さて、ストキャスティクスの実践的な使用方法について解説しましたが、リアルなチャートでも分析を深めたいところ。
この章では、ビットコインチャートを参考にした、ストキャスティクスによる分析を行います。
ストキャスティクスを用いて、
- 押し目を見つける方法
- トレンドの節目を見抜く方法
- レンジ相場で使用する方法
と、よくある相場環境に照らし合わせて解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(上昇トレンド発生中)ストキャスティクスで押し目を見つける
まず、上昇トレンドが発生している場合にエントリーポイントを見つける方法を考えてみましょう。
トレンドラインによる下限の価格帯をおおよそ抑え、その上でストキャスティクスによる「押し目」を見つけます。
すると、トレンドラインの下限付近でストキャスティクが反発(ゴールデンクロス)しているのが分かります。
このような箇所は、「押し目」になる可能性も高いことから「買いエントリー」のチャンス。
ゆえに、トレンドが発生していることを前提に、目安のライン付近でストキャスティクスが反発すれば順張りで利益を狙えますよ。
(トレンド転換?)ストキャスティクスでトレンドの節目を見抜く
ビットコイン(仮想通貨)のようにトレンドが強く出る銘柄は、転換点からエントリーできると利益も大きくなります。
そして、ストキャスティクスであれば転換点を探る分析が可能です。
なかでも、ゴールデンクロス・デッドクロスやダイバージェンスの発生を分析要素とします。
上記画像は、4時間足におけるビットコインチャート。
赤線で示すようにローソク足は下降を続けるものの、ストキャスティクスは少しだけ安値を切り上げる形になっています。
加えて、「%K」である青線が「%D」のオレンジ線を上抜け(ゴールデンクロス)していることから、上昇へと転換すると考えられます。
こうして、トレンド転換したと考えられる判断材料が揃った場合、勝率の高いエントリーが行えます。
機能していない?レンジ相場でストキャスティクスを使用した結果
ストキャスティクスは、トレンド相場だけでなく「レンジ相場」においても反応しやすいです。
なぜなら、おおよそ意識されやすい価格帯があり、市場心理と相まってストキャスティクスの上限・下限ラインで機能するため。
上記画像のように、三角持ち合いのチャートを形成している時に「20/80」の過度な売買状態になっているポイントを見るようにしましょう。
この際、上下のレジスタンス・サポートラインとセットで分析すると、エントリー精度もアップ。
最終的にはレンジ相場は終わってしまう訳ですが、長い期間を掛けて行われる調整で上下の利益を狙えますよ。
(2021年5月〜)ストキャスティクスを活用した中・長期におけるビットコイン市場のトレンド予測
ここでは、ストキャスティクスを用いた中・長期のビットコイン市場のトレンドについてご紹介します。
ストキャスティクスの分析では、トレンドとして意識される「明確な価格」ではなく、売買の強弱をメインとした「トレンドの強さ」を把握できます。
そのため、おおよそ検討できる「トレンドのの方向性」を参考に、ビットコインに連動しやすいアルトコインの分析などにも活かしてくださいね。
早速ですが、2021年の5月〜8月を目安としたトレンドは「弱い」と判定しました。
理由は、日足で見た際のビットコインチャートでトレンドラインに沿った下落が発生しているため。
さらに、ストキャスティクスも一緒に見ると価格上昇をしているにも関わらず「下落」していますよね。
いわゆる「ダイバージェンス」の発生が起きており、上昇に向けた値動きの力強さが失われていると考えられます。
ただし、2021年5月中旬時点、既にビットコインは強い下落が発生しており「赤色トレンドライン」へのタッチは目前に迫っています。
仮に、下落した場合はレンジ相場のような調整(ヨコヨコな値動き)を踏まえ、次なる上昇へ発展するかもしれません。
その場合、ストキャスティクスによる反発やゴールデンクロスの確認も重要な指標の一つになりますね。
次に、長期トレンドについては「中立」ではあるが、「強くなりやすい」という推測結果が出ました。
根拠としては、週足で見た際のストキャスティクスの位置が既に上限にあること。
けれども、下落する価格と並行してストキャスティクスも下落していることが分かります。
注目したい数値としては、ストキャスティクス「50」のラインで、売買の拮抗するポイント。
もし、目標数値に達した場合は、中立なトレンドを形成しやすい「レンジ相場」へ突入する可能性があるでしょう。
とはいえ、「50」のラインでサポートされた場合は上昇トレンドへ向けた強い上昇が開始されることも。
週足での分析になるので、1年以上のスパンで見ると「トレンドは中立ではあるが、強くなる場合もある」ことを頭に入れておくと良いですね!
まとめ
今回は、ビットコインはもちろん、多くの仮想通貨銘柄で活躍する「ストキャスティクス」の基本的な特徴から使い方についてまで詳しく紹介しました。
ストキャスティクスは、2本のラインを基準に売買の強弱を判断して投資・トレードへ活かせる優れもの。
普段のチャート分析だけでは補えない市場の心理傾向(人々の心理)も反映されるので、「思わぬ騙し」を回避できる強みがあります。
ただし、短期的な値動きでは「騙し」も多いなどの弱みもあるので、性質の異なるテクニカル分析も取り入れてくださいね。
尚、仮想通貨取引で役立つテクニカル分析については、「ビットコインで人気のトレード手法まとめ【初心者おすすめ】」で詳しく解説していますよ!
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