

上記の疑問のように、仮想通貨への投資・トレードを始めたばかりの方にとって「出来高」とは漠然とした指標でしかありませんよね。
しかし、既に古い歴史のある「株式市場」の世界では「出来高」は非常に重要な指標であり、相場分析をする上で多くの人が重宝しています。
出来高を知ることは、流動性が高まっている近年の仮想通貨市場で、相場を読む上で役立つ知識です。
というわけで、仮想通貨(ビットコイン)における出来高の見方について詳しく解説します。
当記事を最後まで読めば、出来高の基礎的な見方から上昇・下降時の出来高の傾向、さらには応用的な知識も身につくはずですよ!
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仮想通貨の出来高を見ると何が分かる?
まず、「出来高の概要」から基本的な「出来高の見方」についてについてチェックしておきましょう。
下図のチャートをご覧ください。
上記画像のピンク枠に表示されているように、「出来高」はチャート画面の下部に表示される棒状のバーのこと。
出来高は取引によって成立した売買累計を示しており、「買い」と「売り」の強さによって色分けされます。
上記画像のように、緑色で示されている「買い」の勢いが強い出来高の場合、価格が上昇。
他方、赤色で示されている「売り」の勢いが強い出来高の場合、価格が下降することを示していますね。
そのため、出来高を見るだけでもおおよそのチャート形状・価格推移が分かるのです。

増減を要チェック!出来高によって詳細な価格動向を予測する方法
前章では、出来高の概要と基本的な見方について解説しました。
ここでは、より詳細な相場観を把握するためにも「出来高」を用いて価格動向を予測する方法について解説。
具体的には、
- 増減をチェックし、出来高のボリュームを確認して取引の勢いを把握
- ( 売り浴びせに注目)安値圏における出来高の見方
- (特有の傾向アリ)高値圏の出来高で見ておくべきポイント
と、3つの重要点を解説していきますね。
まずは増減をチェック!出来高のボリュームを確認して取引の勢いを把握
出来高を確認すると、取引が活発に行われているかどうかを「棒の長さ」から確認可能(取引ボリュームとも呼ばれる)。
画像のピンク枠のように、取引数量が少ないと出来高の棒も低くなり、取引数量が多いタイミングでは出来高の棒は高くなることが分かりますね。
このように、出来高を見ることである銘柄や市場全体に流れる資金量の変化を把握しておけるのです。
取引量の増減は、相場の過熱感をチェックできるのでトレンドの転換や継続を考える上で役立ちますよ。
(詳しく解説)出来高を見ればOK?ローソク足がもたらす役割
( 売り浴びせに注目)安値圏における出来高の見方
さて、ここでは安値圏における出来高の見方について解説していきます。
まず、安値圏で意識したいポイントは2つ。
- 「売りの出来高」急増によるポジション解消
- 安値圏での「買い出来高」急増ポイントの把握
となります。
「売りの出来高」急増によるポジション解消
上記画像では、薄い枠線の範囲で大量の売り注文が発生したと観測できます。
赤い棒(売りの出来高)が連続して連なり、ローソク足を見ると大きな下落が発生。
つまり、「買い」で保有していた投資家・トレーダーによる建玉が「損切り」や「強制ロスカット」によって解消されたことを意味します。
このように、「買ってみようかな」と判断できる「安値圏」の位置は、買いのポジションが大量に解消されたタイミング。
ですから、直近の価格推移のなかで「売りの出来高」が急増するタイミングは相場の転換が起きる可能性があるのです。
ちなみに、画像では売りの出来高が発生した後に反転して上昇していますね。
これは、相場の暴落とともに多くの売り方が利益確定・新規の買い注文を行ったと推測できますよ。
安値圏での「買い出来高」急増ポイントの把握
安値圏で、出来高が急増するポイントは上昇トレンドへの兆しとなります。
これは、安値圏での価格推移がしばらく続く期間は、出来高も少なくなる傾向にあります。
しかし、買いの出来高が急増すると一気に上昇への気配を感じさせます。
理由としては、相場を動かす大口投資家による大量の資金による買い上げ、それに伴う個人投資家の買い需要が起こるため。
実際、上記の画像から分かるように安値圏での買い出来高が急増していますね。
その後、急落によるふるい落とし(急騰で飛び乗った投資家のポジションを急落で解消する)を行うことで、次の上昇に向けた値動きを展開。
結果、出来高の急増を起点に、相場は上昇トレンドへと転換していきました。
出来高の急増を安値圏で確認できると相場に動きが出やすくなることが分かりますね。
しかし、出来高の急騰が突発的なもので、下落を続ける「だまし」になってしまうことも。
出来高の急増で飛び乗るようなエントリーは避け、その後の値動きと出来高の推移も見てみるようにしましょう。
(特有の傾向アリ)高値圏の出来高で見ておくべきポイント
続いて、高値圏における出来高で見ておくべきポイントを解説します。
安値圏と同様に、高値圏においても注視しておきたいポイントが2つあります。
- 出来高の減少にも関わらず高値の位置にいる
- 高値圏での買い出来高の急増
よくある高値圏での2パターンについて、チェックしてみましょう。
出来高の減少にも関わらず高値の位置
上記画像をご覧の通り、高値圏で推移しているチャートであることが分かりますね。
しかし、高値圏であるにも関わらず、出来高は徐々に減少。
肝心な箇所で出来高が減少するのは、買い需要が低下していることを意味します。
したがって、新規の買い手がいないがゆえに安値圏で購入したポジションの手仕舞い、下落を恐れた高値圏でのポジション解消(建値撤退や損切り)によって下落へ転じる場合があるのです。
見極めのコツとしては、高値付近のローソク足で強い出来高があるか確認しておきましょう。
もし、買いの出来高急増を確認した場合、その付近が買い圧力のクライマックスである可能性が高いです。
前後の出来高・ローソク足のバランスを重視して分析してみてくださいね。

ビットコインのトレードを主にしている筆者ですが、高値圏での出来高減少はビットコイン相場でよく見受けられます。
多くの場合、強い上昇途中に大量の買い注文が入った出来高を形成。
その後、買い・売り共に、出来高が減少するのですが、一気に売られることで暴落というパターンです。
ですから、高値で「置いてかれたくない!」と慌てて買ってしまうのではなく、十分な押し目を狙ってエントリーするのがおすすめですよ!
高値圏での買い出来高の急増
先程の出来高減少とは反対に、高値圏での出来高急増パターンによる下落発生ケースもあります。
上記画像のように、強い上昇が継続した後に「最高値」付近で出来高がクライマックスを迎えています。
この状況では、十分な高値圏であっても多くの投資家・トレーダーが「買い」注文をしたという証拠。
結果、その後は横ばいの価格推移になってしまい、最後は上昇の半値を戻すように下落しました。
一連の流れから分かるように、出来高の急増によって買い方が多くなったものの、
- 大口投資家が大量保有する玉の一部が売られた
- 意識されるレジスタンス(サポート)ラインのため反発
- 新規の買いが続かなかった
のような理由から、下落に転じてしまうのです。
考えられる要因は、相場を取り巻く市況によっても変わります。
ですが、高値圏での更なる「買い出来高」の急増には注意しましょう。
(補助的役割) 出来高の確認にプラスして知っておきたい3つのポイント
仮想通貨取引では、上記でご紹介した「出来高」の分析法に加え、有効な分析手法や便利なツール・指標があります。
筆者自身、ビットコインの出来高を確認する際に活用しており、投資する際の判断材料にもなっています。
改めて、3つの重要ポイントについてチェックしてみてくださいね。
出来高とチャート分析を組み合わせるとトレードの精度が上がる
出来高の確認は、ビットコイントレードにおいて重要な分析指標の一つです。
しかし、トレードの精度を上げるためには出来高だけでなく、チャート分析も組み合わせたいところ。
チャート分析とは、時間軸ごとのローソク足の形やテクニカル分析によってチャートの値動きを読み解く分析を指します。
自分に合う相性の良い独自な分析方法を見つけられると、出来高による相場分析に加えて強力な武器になります。
一例として、下記のようなトレンドラインと出来高を併用したチャート分析をご紹介。
レンジ相場の上限となるレジスタンスライン、及び、下限の価格帯に沿ってサポートラインを引きます。
この際、出来高についても確認すると、「嵐の前の静けさ」のように取引量が少ないことを確認。
その後、価格の収束と共に「急激な出来高」を付けたことで価格は高騰。
レジスタンスラインも明確に上抜けした強い上昇トレンドが発生したと、分析できますね。
以上のように、出来高の確認に加えてテクニカル分析などを組み合わせることで精度の高い分析が行えますよ。
「ビットコインLSチェッカー」で ポジション比率を確認する
「ビットコインLSチェッカー」では、相場の高値・安値付近での上昇や下落において、「買い」「売り」のポジション増減数をグラフにして確認できます。
出来高の確認だけでは心許ない相場において、ポジション比率を確認できると相場の過熱感がどちらに向いているか分かります。
また、既に加熱している相場において危険信号を事前に察知できる強みも。
例えば、十分に高値圏での推移をしているビットコイン価格に対し、上記のように「ロングポジション合計」が多いとします。
つまり、「高値圏でのロングポジションが多い」という推測ができますよね。
もし、このロングポジションが利益確定によって下落を開始し、高値付近の買い方がポジションを解消すると一気に急落するでしょう。
高値圏における出来高、買い方ポジションの溜まり具合を見ることで、広い視野での分析が行えます。
出来高だけでなく、ビットコインLSチェッカーを活用したポジション比率も確認することで、安易なエントリーを避けられるはずです。
仮想通貨市場のクジラ「機関投資家」の動きもチェック
2021年2月19日、ビットコインの時価総額は「1兆ドル」を超えたことで大きな注目を浴びましたが、それだけ出来高も多くなっていることを意味します。
とりわけ、「1兆ドル」という数字は、アップルやアルファベット(Googleの親会社)など、世界のトップ企業が有する時価総額と同じで、大きなインパクトですよね。
このような資金流入の背景には、ビットコイン市場を牽引する大口投資家、通称「クジラ」の存在があります。
クジラは、発行されているビットコインの40%以上を全体で保有しているとされ、1,000BTC以上の大口投資家。
日足ベースでの大勢的な価格シナリオを立てるためには、彼らの動向をチェックしておくのは欠かせないです。
それゆえ、大口投資家の資金流入を観測しておくことで、今後の相場展開に大まかな目安をつけておきましょう。
主な分析方法としては、世界最大規模で機関投資家のビットコイン投資を取り扱っている「Coinbase pro」の資金流入をチェックすること。
同社は、OTC取引(店頭取引)による大量のビットコイン買い付けを行っており、市場を動かすほどの投資家が利用しています。
そこで、仮想通貨データ調査会社「CryptoQuant」が提供する「Coinbase Pro Outflow」データにてビットコインの移動をチェック。
すると、しっかりと大口投資家がビットコインを移動しているのが分かりますね。
彼らの目的は、ビットコインを長期保有で利益追及するため、コールドウォレットに大量移動したということ。
画像からも分かるように、ピンク枠の棒線は大量のビットコインが移動した証拠ですね。
ビットコイン価格の上昇・下落、どちらであっても大きな価格変動は「クジラ」によるもの。
ですから、出来高の多寡だけを見るのではなく、実際にどんな資金が市場で流動しているかもチェックしましょう。
まとめ
今回は、仮想通貨投資における出来高の見方について詳しく解説しました。
出来高は、仮想通貨(ビットコイン)の価格分析をする上で大切な指標となり、相場の方向感を掴むのに便利です。
基礎的な見方を確認するだけでも強みを発揮しますが、安値・高値などの節目価格でチェックできるようになると、精度の高い分析が行えます。
その他、出来高だけでなく組み合わせると相性の良い分析手法もあるので、参考にしてみてくださいね!